男と女のQ&A【夫婦編】「卒婚を考えてはみたものの…」

【Q】結婚して28年、2人の子どもが独立したのを機に「卒婚」を考えることにしました。結婚前に描いていた結婚のイメージは、子どものころテレビドラマでみた幸せな家庭のイメージだったんです。仲のいい夫婦が2人で協力しながら幸せな家庭を築いていく、家庭の中にこそ幸せがあるイメージ。パートで働いてはいましたけれど、基本的には専業主婦なので、夫が外で私がうち。私が仕事で大変な夫を労えば、夫は家事労働で休みのない私に優しく接してくれる、子どもたちも、立派に育ててくれてありがとうと親に感謝する…、のはずだったのに、実際は全然違ってました。夫は帰宅すればまったく何もせずに「風呂」「メシ」と言うだけ。口を開けば「誰に食わせてもらってるんだ!」。子どもたちはちっとも言うことを聞かず、思春期になると帰りは夜中、家での会話も無し。「こんなはずじゃなかった」と思いながら、私1人ただただ忍耐の日々。5年くらい前から、「卒婚」を考えるようになりました。少なくとも親の介護が始まるまでは自由に生きようと思ったものの、自由に生きたいという気持ちと「卒婚=自分の生き方の否定」という気持ちが絡み合って、本当はどうしたいのか分からなくなってしまっています。
 
【A】長く夫婦として生活を共にしてきたカップルの多くが、パートナーへの不満を抱え、離婚か結婚継続かを迷っていると言われています。特に家父長制さながらの夫への妻の不満。そこで注目されてきたのが「卒婚」という夫婦のあり方です。婚姻関係はそのままで、それまでの夫婦の形を変えて結婚の第2ステージをもっと自由でハッピーに生きるための新しい道、ライフスタイルが「卒婚」です。
 
2004年、教育ジャーナリストの杉山由美子氏が様々なやり方で自分たちなりの後半生の充実を実現しようと試みる6組の夫婦の取材記録を「卒婚のススメ」というタイトルで出版したときの造語です。そこで命名した「卒婚」という言葉は、その後有名人のコメントやテレビ番組などでも話題となり、改題して「卒婚 -これからの結婚のカタチ」として2020年に出版されています。
 
あなたも5年くらい前から「卒婚」を考えるようになったとのことですが、それは今までの「自分の生き方の否定になる」という気持ちが絡み合って、どうしていいのか分からなくなったとのご相談ですよね?
まず、あなたの「今までの人生、生き方」について、「こんなはずじゃなかった」と思いながら、「私1人ただただ忍耐の日々」とおっしゃっています。確かに、結婚前に描いていたイメージと「実際は全然違った」28年の結婚生活。それにただただ耐えたあなたも大切なあなたでした。その体験があって今のあなたがあるのですから、自分の生き方の全否定と考えず、「これからの人生のリスタート」としての「卒婚」を勇気を持って考えてみてはいかがでしょうか?
 
今までの結婚生活とは違うルールを夫婦で取り決めるわけですから、それをするためのエネルギーと選択や決断が必要ですし、デメリットもあることを覚悟しなければなりません。でも、今までの「ただただ忍耐の28年」をもう一度繰り返すのはやめましょうよ。離婚と決定的に違うのは「法的な婚姻関係」はそのまま継続するので、経済的な面では夫婦の共有財産を維持しながら、同じ家で生活することもできます。もちろん、別居という方法もありですが。
 
一番大切なことは28年間、忍耐してきたことを夫と相談して、すべてではないにしてもほぼやめる選択をする。相手を認め、お互いに自由になることで、身体的・精神的に心地よい夫婦関係を再構築するという話し合いに挑む覚悟をすることです。
 
まずは、「風呂」「メシ」「誰に食わせてもらってるんだ!」はやめてもらう提案をしましょう!何とか頑張って、ここを乗り越えてください。
第278回

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