男と女のQ&A【職場編】「部下の女性にはめられた?」

【Q】就職して8年、今年課長に昇進しました。男性は私も含めて6名、女性が3名です。やりがいも感じられる人数でもあり、なかなかまとめるのが難しい人数でもあります。同期で課長は私だけなので、高校、大学とサッカーをやってきたことが評価されての昇進かなと思います。入社したてのころから明るく振る舞い、何でも積極的にこなしてきて、課長になってからも部下には明るく接しながら、時に課長として厳しく指導するというやり方をしてきました。なんな中で難しいなと思っていた入社2年目の女子社員2人のうちの1人から、もう1人の女子社員が彼氏のことで悩んでいて、仕事も手につかず、私の負担が重くなっているので相談に乗ってあげてほしいと言われたんです。悩んでいるという女子社員に「彼氏のことで悩んでるんだって?」と真っ直ぐに聞いてみたら、「はい」と言うので社内では話しづらいだろうと社外で3回ほど話を聞きました。1ヶ月ほどして、部長に呼ばれ「女子社員にセクハラしてるそうじゃないか。複数の女子社員から訴えがあった」と言われました。女子社員の相談に乗ったこと以外、思い当たることがないし、それだって頼まれたわけで、他の誰にも話していないので2人以外知らないはずなんです。真相ははっきりしませんが、私は部下の女子社員から嫌われていてはめられた?そう思ったら、出社するのが辛くなりました。
 
【A】あなたは今年課長に昇進し、やりがいを感じながら積極的に仕事をこなし、明るく、時に厳しく指導してきたところ「セクハラ」と複数の女子社員から訴えがあったと部長に言われたんですね。自分では思い当たらず、部下の女子社員から嫌われてはめられた?と思い、出社が辛くなったというご相談。
 
残念ですがお察しの通りのように思います。同期のトップで課長職になり「厳しさ」が部下から受け入れられなかったと思うことはありませんか?「彼氏のことで悩んでいるんだって?」と「真っ直ぐに聞いた」と言っていますが、これもアウト。社外で3回その女子社員と二人きりで会うのも「妄想型」と思われたり、課長から誘われて断りづらかったと言われれば「対価型」セクハラとされても仕方ありません。以下の「セクハラ」についての説明をしますが、まったく思い当たることがなければ、「はめられた」可能性は大きいかもしれません。
 
「職場におけるセクハラ」は男女雇用機会均等法によって次のように定義されています。
・職場において従業員の意に反する性的な言動が行われること
・性的な言動を拒否したり抵抗したりすることによって解雇や降格、減給などの不利益を受けること
・性的な言動によって職場の環境が悪くなり、従業員の能力の発揮に重大な悪影響が生じること
 
そして、「対価型」「環境型」「制裁型」「妄想型」の4つに分類されています。「対価型」は昇給・昇格させる代わりに性的な行為を求めたり、その反対に要求に応えないと降格させたりする、「環境型」は職場にヌードやアダルト系のポスターなどを貼ったり飲み会でのお酌や料理の取り分け、カラオケのデュエットを強要する、「制裁型」は「女性はサポート役に徹すべき」と発言したり、女性上司や同僚の発言を無視する、「妄想型」は相手が笑顔で挨拶をしたり、出張に同行したりするだけで「自分のことが好きかも」と両思いだと思い込み、毎日のようにメッセージを送ったり休日を一緒に過ごそうとしつこく誘ったりする、等々です。
 
人事院の令和2年の「セクシャルハラスメントの防止等の運用について」の改正では、細かい規定ややってはいけない発言の事例も出ています。「男の子、女の子」「僕、坊や、お嫁さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方ももちろんアウトです。
 
ここまで手の込んだ嫌がらせをする女子社員もひどいですが、そのくらいにしないと張り切り新課長をおとなしくさせられないと女子社員に思わせたあなたの部下に対する管理術を反省してみてください。人事院の規則は厳しいと思われるかもしれませんが、今までいかにセクハラが野放しにされていたか考えて、普段の人間関係で信頼されるよう努力が必要ですね。
第266回

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